第5話:誰かと関わることが怖くなくなった日
~ひとことが灯した、心の温度~
第1話から読んでくださっている方、ありがとうございます。
前回のお話では、「心の感覚が少しずつ戻ってきた日常」や「整える習慣」が、自分自身の回復を後押ししてくれたことについてお伝えしました。
今回は、もう一歩心の回復が進んだ「人との関わり」にまつわるお話です。
うつの真っ只中にいた頃、私は人と関わることがとても怖くて仕方がありませんでした。
誰かと話すことが、心を削るように感じていたのです。
でも、ある日を境に、その感覚に少しだけ変化が生まれました。
小さな「ひとこと」が、心の距離を縮めた
ある日、近所のスーパーでレジに並んでいたとき、
店員さんがふと、こんなことを言ってくれました。
「いつもありがとうございます。今日あったかいですね。」
ほんの何気ない一言でした。
でもその言葉に、不思議と心がふっと緩むような感覚がありました。
自分が”人として”見られている気がした。
それだけで、世界とのつながりを思い出せたのです。
関わることの怖さは、完全には消えない。でも…
その後も、急に社交的になれたわけではありません。
それでも、「人と関わってもいいかもしれない」と思える時間が、少しずつ増えていきました。
- コンビニで「ありがとうございます」と自分から言えるようになったこと
- 玄関前ですれ違った人に、小さく会釈できたこと
- 友人からのLINEに「元気?」と返すだけでも、少し頑張れたこと
こんな小さな行動が、私の中ではとても大きな挑戦でした。
恐怖ではなく、ぬくもりを感じられるようになった
振り返れば、「誰かに迷惑をかけてはいけない」という思いが、
ずっと私の人間関係を重くしていたのかもしれません。
でも、あのスーパーのひとことをきっかけに、
「人は、誰かにとっての安心にもなれる」と気づきました。
「関わる=負担」ではなく、
「関わる=ぬくもり」でもある。
そう思えたあの日から、ほんの少しだけ、外の世界が優しく見えるようになったのです。
補足:関係づくりのきっかけになったもの
うつの回復期に私が意識していたことのひとつに、
**「共通のテーマを持つオンラインの場にだけ顔を出す」**という工夫があります。
リアルな場所よりも距離感を保ちやすく、
匿名性もあって話しやすい環境だったからです。
また、リラックスを促すサプリメントも、
人と関わる前の不安感を和らげる助けになりました。
「人と関わる勇気」は、自分を大切にするところから
うつの回復には、孤独との向き合い方も大きなテーマです。
でも、「誰かとつながることが怖くなくなる日」は、
ふとした拍子に、すぐそばまでやってきます。
まずは、自分の心に優しくすること。
その先に、人との距離が自然と縮まっていく日が訪れると、私は思っています。
次回予告
次回は、『笑える日が増えたこと』についてお話しします。
ほんの小さな冗談や、ふとしたやりとりに、
自分でも驚くほど自然に笑えたあの瞬間。
「心から笑う」ことが戻ってきた日々を、
ゆっくり綴っていきます。
🔙前話はこちら
👉 第4話:少しずつ戻ってきた「心の感覚」~毎日の「整える」習慣~